この男たちの顔には「俺たちはやりきった!」という充実感に満ち溢れていた。レーザー東北選手権終了翌日に開催されたこのゴルフ企画はレーザー選手権との続きで開催されるものとしては初めての試み。開催は1年も前から決まっていた。
昨年も今年と同様、わがTokyoBayFleetのメンバーは新緑豊かな猪苗代湖畔のキャンプ場に陣取り、セーリング&キャンプを楽しんだ。日本屈指の透明度を誇る猪苗代湖でのヨットレースが快適なのは勿論のこと、気心しれた仲間達と焚き木を囲い、(なぜか)70年代の懐メロを聴きながらビールを片手に、誠に以って、たわいの無い(中身のない)会話に花を咲かせる時間は、弱肉強食の社会を生きる企業戦士にとっては日々の労苦を癒すのに貴重な機会となっていた、しかし、「何か足りない!」と感じる人間は一人だけではなかった。そうだ!ゴルフだ!
2泊3日のセーリング&キャンプには、土日に続けて金曜日の休みの確保と、セーリング用具とキャンプ用具の準備、そして何よりも会社と家族の了解が必要。加齢とともに、企業内・家庭内での存在感(価値)が減衰している孤高の戦士にとっては何とも罪悪感を感じる「切り出しにくい」企画であったはずだが、これに月曜日のゴルフをくっ付けて4連休にする。この無謀と言うべき行為は、客観的には自分の立場をわきまえていない愚行とも言えるが、同時に、この男たちにとっては現実逃避、いや「もう一度やってみせる!」という原点(独身時代)回帰への思いそのものだった。
出発の前日、男たちはいつものように、車にセーリング用具を運び、最近家庭内で活躍の場が少なくなったキャンプ用具を黙々と車に積み込む。そして、家族の目をはばかりながら、ゴルフバッグをそっと忍ばせる。「帰りは月曜日になる…」勇気を振り絞って声にならない声を上げると、「なにぃ?」と家族の怪訝な声に心臓が止まる。「ちょっと行ってくる」とそそくさとトイレに駆け込み、九死に一生を得る。
自宅を出発してしまえば、こちらのもの。男達の頭の中には、この旅程後に再開される奴隷のような日々の事など案じる頭もない。「キャンプ!ヨット!ゴルフ!」。娯楽版ゴールデン・トライアスロンを前に、踊る心を抑えることもなく東北道(常磐道)をひた走る。
(中略。キャンプ&セーリングのお話は全体レポートをご参照ください)
日曜日、レース閉会式が終わると、ともに戦った各フリートの選手達、そして何よりも素晴らしい大会を運営してくださったスタッフの方達に別れを告げ、有志5名は、レース参加賞のさくらんぼを頬張りながら、次なる宿泊地である磐梯熱海温泉に向かう。
磐梯熱海温泉のホテルに着くや、5人はすかさず温泉に浸かる、そしてその後、ロビーでハッピーアワー・ビール(無料飲み放題)
。ここはまさに桃源郷!浴衣姿&ガニ股でビールを飲む男達の下半身からはムスコが見え隠れするが、そんなことは男達には関係ない。周囲から他の宿泊客が次第に消え行くが、そんなことは気にもせず、ビール片手にその日のレースの反省会で盛り上がる。
夜の宴会場は、車で5分ほどの所にある、あたみ食堂だ(阿蘇谷さんに送ってもらった)。この食堂には近所の常連客が多く集っていた。ビールに枝豆、もつ煮込み、餃子に手羽先、(中略)、そして、閉めはラーメン。何の話をしたか覚えていないが、あっという間に2時間が過ぎ、みな満足感に満ち溢れる。ホテルに戻ると、気持ちいい布団が各々の疲れた身体を包み込む。5人が意識を失うのに時間は掛からなかった。
翌日は待ちに待ったゴルフの日。ゴルフ場にレーザーを積んだ車がクラブハウスの車寄せに続々と押し寄せる。朝一のラウンド。朝露滴る、涼やかな新緑の高原ゴルフ。ナイスショット!あーっ!という声が安達太良連峰の山々をこだまする。平日のゴルフほど贅沢なものはない。5人はこれまでの人生で失ったものを取り戻すかのようにゴルフを楽しんだ。来年も行きたい、いや、行ってやる!最終ホール、5人の頭上には梅雨の晴れ間が覗いていた。 (レポート:大和)
[結果]Out In H/C Net
武井 53 47 24.0 76.0
大和 54 51 28.8 76.2
佐藤 49 46 18.0 77.0
佐々木53 49 24.0 78.0
平尾 56 55 30.0 81.0
おまけ>
Camp模様は、こんな感じ